労務関係のトラブル相談の中で、従来より件数が多いのが解雇関係です・・。
退職周りの対応は難しいですし、さらに難しい解雇の基礎知識を簡単にまとめます。
目次
『働き方改革』も話題の中心になっていますし、ベーシックな労務管理は当然重要です。そうした情報が世の中に大量に出回るのと比例して、いろんな?相談が増える可能性さえありますし・・。
今回取り上げる「解雇」は、全国の労働局への相談統計のなかでも「いじめ・嫌がらせ」に次いで多い相談件数になっています 。
解雇は、事業主からの一方的な通告によって職を失うという、労働者の生活にとって最も過酷なものという面から当然でしょう。
今さらですが、ネットの普及等に伴ってそうした解雇関係の情報も多く出回っています。そもそもどのような場合に解雇を行い、また行えるのかについての基本を再確認していきましょう…。
〔関連過去記事〕
解雇は事業主側から一方的に行うものです。ドライに表現すれば、事業を営む主体(事業主)として、その労働力を受け取る価値を見出せないことが理由となります。
いわゆる退職と違い、解雇の理由には明確な根拠が必要とされるのが通例です…。端的にいうと次のような理由が考えられますが、それぞれ就業規則上に定めることが必要です。
まずは、上記のような就業規則等上の解雇事由の該当性が原則的に問われます。
▼より詳しい解説は……
〔参考:厚生労働省関係リンク〕
上記の理由で解雇が行われるのが前提ですが、理由が発生したからといって当然に解雇が有効になるわけではありません。いわゆる、不当解雇とされる可能性が残るからです。
法律上で言うと、解雇は「正当(客観的に合理的)な理由がない限り無効である」というルールが規定されており、実務上では解雇を回避するような努力が求められるのです 。
(→労働契約法第16条)
特に上記1・2の場合の回避努力として、問題行為等に対してこれまで注意・指導を尽くしているか、または解雇以前に相当の懲戒処分を行っているか等が問われます。
そうした回避努力を経てもなお解雇が必要な場合、最終的に解雇を実行します。その際の解雇手続きが、適法かつ適正に行われることも重要になります
例えば、解雇する理由が十分あるからといって、解雇予告(または解雇予告手当の支払)を行わないのは、適正な手続きとは言えないのです 。(→労働基準法第20条。ただし、懲戒解雇で除外認定となる場合を除く。その他、解雇制限にも注意する。)
上記5のいわゆる経営不振等によるリストラ解雇では、それ相応の段階的な手続きが求められるでしょう。(別途に要件が示されています。)
解雇前に注意すべきポイントを大きく三つに分けてあげました。要するにいつでも自由に解雇することはできないし、理由があっても相当ハードルが高いものになっています。
また、これらはどんな会社でも一律に適用されルールですが、実際の紛争解決の現場では諸事情が考慮されることは十分あり得ます。
例えば、それなりの規模の会社では上記を厳格に検討して進めることが求められる一方、中小・零細規模の事業所は各判断基準が柔軟になる可能性があるでしょう。
特に人員の限られる小規模な会社では、代替要員確保のためや信頼関係の崩壊など、実質的に雇用を継続することが困難な理由も十分その判断要素になり得るからです。
前半紹介した当ブログ記事のように、最終的に解雇という方法をとるのか、その折衷案的な方法をとるのかを含め、臨機応変に考えるべきでしょう。
とりわけ小規模な会社は諸事情を踏まえ、本人意思と事業運営のバランスを取りながら、話し合いで解決することが最も妥当な方法かもしれません・・ 。
実際に手続きを進める際にも、金銭的解決(解雇予告手当、一定程度の賃金保障など)、また失業保険の有無や年休の残日数など、トータルで話し合う必要も出てきます。
いずれにしても、上記で挙げたものを検討しつつ、慎重かつ冷静な対応がおすすめ・・。解雇が無いことが一番ですが、もしもの時のご参考になればと……
〔あとがき〕
今週後半になって、急に日中の気温も下がってきました。いきなり冬になるよりはいいのですが、やはり身体は着いていくのが大変・・。
ところで、10周年記念としてのブログテーマも、約2カ月たったところでチェンジ・・。いろいろ検討もしましたが、結局トータルの使い易さを重視して定番の「Simplicity」になりました。
近頃の Good & New
・天降川焼(湯呑&カップ)
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