労働分野で一番トラブルになることの多いこのトピックから…。労働者が退職するとき、あいまいになりがちな言葉の区分についてまとめてみます。
一般に雇用を終了する際に「退職」や「解雇」という言葉はよく耳にしますし、専門家に限らず広く使われている言葉です。
しかし、いったん労使間の紛争やトラブルになった場合には、この2つによる区分だけで単純に割り切れないことや、当事者の誤解も多いものです。
そこで、社労士としての現場感覚を交えて、初心者でもわかるように、この違いを改めて解説します。
まず、いわゆる「退職」ついて再確認します。大きな意味で雇用の終了全般を指すこともありますが、一般には労働者が自ら辞めることをいいます。(いわゆる「一身上の都合」を理由とすることが多いですね。ただ、その理由は実際には幅広いでしょう…。)
次に、「解雇」は退職と違い会社側の一方的な通告によるものになります。したがって、賃金で生活する労働者にとって不利益が大きいため実際に厳格とも言える保護をされてもいます。(具体的には別の機会に…)
そして、「懲戒解雇」は懲戒と解雇を同時に行うものと言え、懲戒処分として解雇するという処罰性があります。つまり、もっと軽い処分…例えば、けん責、減給、出勤停止等ではカバーされないような、本人の非行が大きい場合の最終手段と言えますね。
以上3つの区分を基本として、さらに細かく区分されることも多いです。いわゆる諭旨解雇や勧奨退職など、これらの中間的なものです・・。
いずれにしても、実務上で大事なのは、退職なのか解雇なのか、また懲戒解雇なのか区分をまずはっきりさせ、現状を把握することです。
分かりやすく言うと、文書でその内容を確認できることが一番大事・・。
そして、前提になる条件では法的にどうか検討した上で、対処を決めることになります。場合によっては、これらの間を行ったり来たりしながら落としどころを探るということもあり得ます。
社労士として私が関わるトラブルの初動対応では、これらの区分等の両義性を考えつつ、最適な判断を当事者に促していくことも多いです。(ようするに解決優先のアドバイス。必ずしも裁判等へ進むことを最善策としないという意味でも…)
以上、ざっくりと退職・解雇・懲戒解雇の違いとその実務対応をまとめてきました。もちろん、実際にどの区分になるかは最初と最後で変わることもあり得ます・・。
そのような事実とともに、上記の違いを十分理解しておいていただければ良いかと……
できる限り分かりやすくまとめたつもりですが、ある程度の知識を持った方には物足りない部分があるかもしれません・・・ですので、アップデートも有りと言うことで……
(*最後の写真は、先日行った奥球磨の「湯前まんが美術館」の様子。)
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・霧島の紅葉
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