働き方改革関連法の中に、労働時間把握の義務化についての改正があります・・。
そもそも労働時間の把握とはどういうものか、また改正内容の基礎を簡単にまとめます。
労働時間は、一般に「勤務時間」「就業時間」と同じという理解で良いかと思います。
ただし、実際の解釈が違うケースがあるため、厳密に労働法上で定義されています。
労働基準法では、「客観的に見て労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれている時間」が労働時間となります。
形式的には、就業規則や労働契約等で定められた所定労働時間(例外としていわゆる残業時間)を労働時間とすることも多いでしょう。(参考:コトバンク「労働時間」)
いずれにしても、労働契約に基づいて事業所で働く「労働者」の場合の問題になります。いわゆる下請けや業務委託契約(フリーランス等)は、労働時間という労働法の適用外になりますね…。
重要な補足ですが、一見して労働時間ではないように見えても、実は労働時間にカウントされるというケースがあります。厚生労働省による通達『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』(2017.1策定)でも明確にされています。
例えば、本来の仕事に伴う準備作業や片付けが義務付けされている場合や、実際の作業がなくてもそれに備えて待機している時間(手待ち時間)、また研修や教育等で義務付けがある場合は、原則として労働時間にあたります。(根拠は過去の判例のようです。)
〔資料リンク〕
今回の働き方改革関連法の中で、労働安全衛生法改正(長時間労働をした労働者への医師による面接指導を行うため)として労働時間を把握することが義務づけされました。
従来は、上記ガイドラインがあるのみでしたが、新たに管理監督者なども含めて同ガイドラインに基づく方法で把握する必要があります。(施行日:2019年4月1日)
〔参考リンク〕
ところで、労働時間の把握には実際にどのようなことが必要なのか気になるところです。
まず労働時間の把握とは、始業・終業時刻を使用者(雇用主)が確認し、記録することが原則になります。当り前のようですが・・。
原則的な確認方法としては、使用者が自ら現認(現場確認)すること、またはタイムカード・ IC カード・パソコンの使用時間の記録等の客観的記録を基礎として確認する方法が示されています。
さらに、自己申告により行う(行わざるを得ない)場合についての解説もされています。
この場合は、適正に自己申告を行うことなどについて従業員に十分な説明をするとともに、必要に応じて実態調査を行うなど、適正な労働時間が把握できるような対応が求められています。
実際に何をすれば良いかですが、やはり大多数の会社ではタイムカード導入でしょう…。月並みですが、タイムカードの無い事業所は、この機会に導入することが一番の解決方法です。(ICカード ・パソコンの記録の方は、日常使えるかどうかでしょうか…。)
例外的にタイムカードがなじまない職場では、いわゆる自己申告による方法も可能です。
自己申告による場合は、上記の「十分な説明」と「実態調査」だけにとどまらず、実際の労働時間を正しく申告するような措置が細かく決められています(ガイドライン参照)。つまり、安易に本人申告に任せたり、一定の時間を強制したりすることはできなくなっています。
以上、ご参考に労働時間の把握方法等を見なおしていただければと……
〔あとがき〕
4月からの働き方改革関連法施行に向け、地域の企業でも興味が高まっていることを感じます。大きな要因は、やはり年次有給休暇5日付与義務の開始でしょう…。
今年前半、個人的にも様々な行事が目白押し・・。体調チェックも大事ですね…。
近頃の Good & New
・2元雇用個別立ち上げ
・経鼻内視鏡検査
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