働き方改革の関連で、最低賃金について講師をする機会がありました。
以前の同テーマ記事の続編として、今回話した内容を元に簡単にまとめます。
専門家支援の一つとして、最低賃金等について事業者団体にて講師を担当しました。
当ブログで以前記事にしましたし、最低賃金は私自身も関わってきた分野です。その意味で、比較的話しやすいジャンルだったともいえます。
改めて最低賃金制度を見てみると、今後の事業経営に影響度の高いものだとわかります。報道等でもその引き上げが話題になっており、将来全国平均で1,000円まで引き上げるという話も出ています。
そうした話題を交えながら、仮に労働者と事業主が最低賃金を下回る合意をしても、最低賃金額で契約したことになるという強行法規になっている点も説明しています。つまり、最低賃金額未満の賃金しか支払っていない場合には、最低賃金額との差額を支払う必要が出てくるのです。
〔前回の関連記事〕
次に最低賃金の具体的な適用について再確認します。ひとくくりに最低賃金と言っても、実は地域別最低賃金と特定(いわゆる産業別)最低賃金に分かれます…。例えば、鹿児島県の場合は次のリーフレットのようになります。実際上は、ほぼ地域別最低賃金が適用になるでしょう…。(8/13追記:今年度は790円が答申され、10/3~適用予定です。)
最低賃金の対象となる賃金について続けます。基本的には毎月支払われる賃金に限られ、基本給と諸手当になります。ただし、精皆勤手当、通勤手当、家族手当は除かれます。
なお、臨時的な手当、賞与、そして時間外・休日・深夜割増手当は当然ながら除きます。
適用される労働者の範囲についても補足すると、例えば、パートタイマー、アルバイト、臨時・嘱託などの雇用形態に関わりなく適用されます。
唯一の例外としては、減額特例許可を申請して認められた障害を持つ方、また宿直勤務等の特殊な勤務に就く場合があります。(なお、試用期間中は認めれられないかと…)
冒頭挙げた通り、国も最低賃金引き上げを重要な施策に位置づけています。これに伴い、事業主に対する各種の支援策が注目されているのです。代表的なのが、最低賃金引上げに向けた生産性向上支援とされる業務改善助成金です。
これは、賃金引き上げと併せた設備投資か関連のコンサルティング等に要した費用の一部が補助されるものです。その他に、人事制度等の改善によって賃金引き上げが伴う場合に受けられるものもあります。(→詳しくはパンフレットや資料等を参照。)
さらに、国の方針がどれぐらいの速さで進むのかという点にも注意が必要です。中小企業の経営現場では(賃金アップは)持ちこたえられないという声が上がる一方、労働者側には地域間格差(都会と地方の最賃差)が大き過ぎるという意見が強くなっていますし……
いずれにしても、全体としての上昇傾向は間違いなく続くと見た方が良いでしょう。
これらの綱引きが今年の審議会(最低賃金決定)にも影響しそうですが、実務者としては助成金の活用を含め冷静に対応していく必要がありそうです。
以上が、今回お話しした内容(一部アレンジ)の概要になります。最後に付け加えると、助成金については、金銭的メリットとその後の影響を比較しての検討がおすすめです…。
〔あとがき〕
鹿児島では今月になって災害級の大雨から一転、梅雨明けの猛暑に入っています。真冬の寒さより、むしろ夏の暑さ対策の方が大事になってきた感もあるほど…。まあ、それとは別にやはり夏の陽気さはあるので、難しいところです。
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